ハーバード 現地レポート

就任式の日は、その様子を映画スクリーンでみるために、学校に行きました。11時近くから人が集まり始めました。よく見てみると、集まってくるのは教授ばかり。
ちょうど採点の合間を縫って、みんなテレビを見にやってくるという感じで、あっという間に、教授陣の巨大な集団が出来上がってしまいました。教授達を見ていると、あのブッシュさんには凍り付くような冷笑。オバマさんには拍手。
どちらもハーバード大学出身なので、そこまで露骨に態度に表さなくてもと思いますが、そのくらいブッシュさんの政治手法に飽きがきているということなのでしょう。その入れこみ具合の違いがあからさますぎておもしろいものです。先生方が特に盛り上がったのは、「この国の教育を買えていく必要がある」という一節がオバマさんによって語られた時でした。
さすが教育学部の先生方。拍手拍手の連続。そのわかりやすい反応に、先生方のいつもよりもさらに教育に傾ける情熱の深さを感じた瞬間でした。そして教授の幾人かは、手腕を買われてワシントンに呼ばれる予定です。
(この記事は2008年11月に寄稿いただいたものです)
オバマさんの就任式が近づいてきました。インターネットやラジオでも話題は、このむずかしい経済難局をオバマさんがどう舵取りをしてくれるかということ集中します。
とにかく神の登場を待つようなトーンが多いです。特に、今日もあの会社が首切りをした、とか、あの会社も首切りをするようだとか、そうした元気のでない話題ばかりなので、今は、神のごときオバマさんをまっているという感じでしょうか?
あれだけ、起業家精神に冨むアメリカ人と言えど大きな経済の引き潮にはあらがえないということでしょうか?学生の方は、このことで敢えてディスカッションをするということは少ないです。本音は、この不況が終わらないと、就職先がすくなるなるじゃないか!という思いだと思います。そういう意味では、厳しい卒業後の見通しとなっている年になりました。
前回、アメリカは言葉で言わないと始まらないという、カルチャーの断面を書きましたが、その一部は授業中にも出てきます。
とにかく、1人1人の発言の時間が長いということです。日本の人ならもう終わるだろうという発言時間がたっても、アメリカ人にとっては、発言の道半ばということがほとんどです。
これは、彼らの言葉で言い尽くすというカルチャーの表れ。さらに、理由も言い尽くすということなんでしょう。その結果、言葉数がとても多いです。それに合わせるとなると、こちらもかなり息長く話す必要性が出てきます。
その時に、ジングルズの一息で話しきるというスキルが役に立つように思います。息継ぎが少ないほど、短い時間にたくさんのことを話せるということで、その分聞き手を飽きさせない効能があると感じます。
よく言われますが、アメリカは言葉で言わないと何も伝わらないというのは、本当だと思うことがよくあります。
How are you?と聞かれて、うまく行ってるよという意味で、こちらが手を振ったり、笑顔をしてみたりしても、彼らは、私の言葉での反応を待っています。Not too bad!と応えて、彼らはやっと私の笑顔の意味を解するみたいです。
この厳格なまでの言葉で言わなきゃ始まらないというのは、生活の隅々まで行きわたっている感じがします。
教授の部屋を尋ねるときもそうですね。質問しにきたのか、感謝を述べにきたのか、心配を表しにきたのか、まず学生が言わないと、教授の表情は曇りがちです。
そう意味できちんとしゃべるために、ジングルズは武器になりますね。私の場合は息が浅いので、ゆっくり体のそこから息が出てくるように、心がけています。みなさんはどうですか?
ハーバード大学は、行く大学院によって授業カレンダーが違います。教育学部は春学期が2月2日から開始します。だから、名前も「春」学期。
ところがビジネススクールは、1月13日から始まります。だから名前も「冬」学期。おもしろいですね。その分終わりもずれます。卒業式は、共通して6月2日と決まっています。
この春はビジネススクールで社会起業講座をとります。ハーバード大学では大学院をまたいで受講可能です。しかも、追加料金なしです。その分、もう私の学期は一部開始となりました。その授業担当教授のChilress教授(女性)は、ハーバードビジネススクールの教授の中でも秀でた教授のみがもらえる、Charles M. Williams Awardの受賞者です。とてもたのしみです。
こうしたビジネススクールの授業はケースメソッドがほとんです。授業のほとんどが学生の意見交換で進められていきます。意見をいうから評価されるというわけです。ここはジングルズの発音を使うしかないと考えています。